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 第59話 女子生徒・金井慎子 

 突如として『性同一性障害』の男性として姿を現した金井慎吾。最初は皆と一緒に驚いていた恵一だったが、すぐに冷静になりずっとその目で金井の顔の表情を追っていた。

「では、金井さんにもご挨拶して頂こうかしら」
 担任の稲美早苗がそう言った瞬間、それまでざわついていた教室内がシーンと静まり返った。クラスの生徒全員が、あの乱暴者の金井がどのような挨拶をするのか興味津々だったからだ。
「・・・・・・・」
 担任から挨拶を・・・・と言われたものの、金井の口からはなかなか言葉が出て来なかった。しかも、みるみる内に顔が真っ赤になって行ったのだ。
「あら、恥ずかしがっているのかしら」
「そうね、恥ずかしくて声も出せないのね」
 生徒の中からそんな声も発せられていた。しかし、・・・・・・・
『違・・・・違う。確かにそれもあるけれど、それだけではないわ。目が・・・・目が怒っているもの。クラスのみんなに散々散々言われて、怒っているんだわ。なのに、その怒りを必死に堪えている。わたしの知っている一週間前までの金井とは、まったく別人のようだわ・・・・なぜなの?』
 激しく怒っているがそれに耐えている金井。これまでの金井では考えられない事だ。恵一には、この展開が読めなかった。しかし次の瞬間、金井が
沈黙を破ってその口を開いた。
「金・・・・金井・・・・・慎子です。今日から女・・・・女子としてこのクラスにお世話になる事になりました。どうぞ、よ・・・・よろしくね」
 まったく似合っていないミニのセーラー服を身に纏った大柄な金井。その金井から発せられた妙な裏声を使った明らかに不自然な言葉使いの挨拶。それに対して、教室のあちらこちらから笑いを堪える声が相次いだ。以前の金井ならば、当然、その報復に出るところだ。しかし、なぜか金井はまるで怯えてでもいるかのように目をキョロキョロさせ、妙に落ち着きがなかった。
「先生、金井さんに質問していいですか?」
 生徒の一人からそんな声が出た。
「ええ、それは別に構わないと思うわ。どう? 金井さん」
「は・・・・はい」
 仕方なさそうに金井が返事をした。
「では、金井さんに質問します。金井さんは、本当に女の子になりたいと思い始めたのですか?」
「そ・・・・そうよ。わたし、最近気づいたの。わたし、本当は・・・・・女の子なんだって」
 金井が中途半端な裏声で答えた。
「ぷふふふっ・・・・」
「そんなばかなねぇ」
 教室内に、再び笑いを押し殺す声が・・・・・。
「それでは、金井さん。いずれは手術してアレも取っちゃうつもりなのね?」
「アレ・・・・・って?」
 半分放心状態の金井は、アレが何を指しているのかさえ判断出来ない状態にあった。
「アレって・・・・・あれよ。男の子のあ・そ・こ」
 教室内から一斉に笑い声が起こった。現在の金井の状況を肌で感じ、警戒心が薄れて来たのだ。
「そ・・・そ・・・・・それは」
「おやめなさい、そんな下品な質問は」
 さすがに、稲美から注意の言葉が入った。
「いいですか、いずれにしても金井さんは、これから一年近くみなさんと一緒に同じ学校生活を送ります。もちろん、それは女子としてです」
「わたし、金井さんと一緒に勉強するの嫌だわ」
 今度は、金井を拒否する生徒が現れた。
「どうしてですか? そんな事を言ったら、金井さんが可哀相でしょう」
「でも、いくら女になりたいって言っても、身体は男のままですよね? それを意識するなと言われても、それは無理です」
「そうよね、もうじき体育で水泳の授業も始まるし、その時は、金井さんも私たちと同じようにスクール水着を着る事になるんでしょう? そんなの、気持ち悪いわ」
「そうそう、おトイレだって一緒よ。そんなの耐えられない」

 生徒たちから続々と出て来る女子生徒・金井への反発。
 この突然の出来事の裏には、いったいどんな企みが隠されているのだろう。

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 第58話 突如の珍事 

 その出来事は、恵一が金井に襲われてから一週間後に起こった。

「みなさん、今日からこのクラスに新しく入る事になった新しいお仲間を紹介します」
「えーっ、新しい仲間だって・・・・・」
「転校生ね」
 担任の女教師・稲美早苗の言葉にクラス内がざわめいた。しかし、更に大きなざわめきが起こったのは・・・・この直後だった。
「では、紹介します。はい、中へお入りなさい」
 廊下で紹介されるのを待っている新しい生徒を稲美が呼び入れた。
「ええっ!! そんなぁ・・・・・」
 その生徒を見た恵一は、しばし呆然とした。
「えっ!? 嘘ぉぉーっ!!」
「嫌だぁ・・・・おかまじゃない!」
 他の生徒も余りの状況に悲鳴を上げる者までいた。教室に入って来たミニのセーラー服を着たその生徒が大柄で厚化粧、おまけに誰が見ても男が女装していると分かる体格していたからだ。
「この人、誰かに似ていない?」
「そうよね、どこかで見たような顔よね・・・・・あああっ!!」
 教室の隅々からそうしたこそこそとした囁き声と、そして、驚きの声が・・・・・・。
「今日からこのクラスに入る事になった金井慎子さんです。皆さんの中にも気づいている人もいると思いますが、金井さんは皆さんの一年先輩で元C組の金井慎吾くんです」
「ややや・・・・やっぱり!」
「でも、なんであの金井くんがあんな格好でこのクラスに入って来るのよ?」
「金井のような乱暴者なんかこのクラスに入れないで欲しいわ。だいたい、なんで女装なんかしているのよ・・・・気持ち悪い」
「皆さん、お静かに! 金井くん・・・・・いえ、金井さんは今日からみなさんと同じ女子生徒としてこの学校に通う事になりました。金井さんは男子から女子に変った事で、進学も含めた学級編成の関係でこのクラスに移る事になったのです。仲間外れにしないで仲良くしてあげてくださいね」
「稲美先生、質問です!」
 生徒の一人から、担任の稲美に質問が飛んだ。
「何ですか?」
「男子の生徒がセーラー服を着て、しかも、女子生徒として在籍するなんて、どうみても変態行為にしか思えません。学校側は、なんでそのような事を承認した・・・・・っていうか、平気で行っているのかが分かりません」
「そうよねぇ」
「そうよ、そんなの変よ」
 再び、生徒のざわめきが・・・・・。
「そうですね、そういう質問が出て当然です。じつは、金井さんはつい最近になって自分が『性同一性障害』だと気づいたのだそうです。みなさんも知ってますよね? 最近はテレビとかでもよく取り上げられていますから。そこで、金井さんは大神病院の院長でもあられるうちの学校の理事長に相談したところ、こういう形になったという訳です」
「あの金井が『性同一性障害』? そんな筈ないわよねぇ」
「あいつの脳が女だなんてありっこないわよ」
「まったくどうなっているのかしら?」
 稲美からの説明があっても、生徒たちは理解出来ずにいた。
「ちょっと聞いてください。『性同一性障害』の人が正式に性転換の手術をし女性の戸籍を得るには、一定期間女性としての生活した実績が必要なの。それで、金井さんはこの学校で女子生徒として生活する事になったのよ。だから・・・・・理解してあげてね」
「それでは、金井くんはこれから女性の戸籍を取ろうとしているのですか?」
「はい、そうです」

 稲美がきっぱりと答えた。
 しかし、この突然の『性同一性障害』宣言・・・・・いったい、金井慎吾に何が起こったというのか?

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 ひとみ絵里

Author: ひとみ絵里
性 別 :  人工微女

初めてスカートを穿いた日が私の誕生日です。ちなみに、小説の中で時々登場するめぐみ(恵一)のイメージ画像のモデルは一部を除いて私自身です。

    ♥ お話について ♥
このお話はフィクションです。お話の中に登場する人物名・会社名などはすべて架空のものです。また、このお話の著作権や私自身の画像に関しては、すべてわたし・絵里に帰属致しますので、無断で転載やご使用なさらないでくださいね。

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