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 第12話 命運 

 隆司とのいざこざがあったその日を境にして恵一の口数は極端に少なくなった。洋祐の見解では、心の準備が出来ていない状態で手術が行われた事で、その反動が出ているのだという。その結果として本来持っている理性が大きく働き、女性ホルモンの作用によって『女性化』を受け入れかけていた心が、再びそれを拒否し始めたというのだ。もちろん、隆司の乱入もそれには大きく影響している。

「あら、ドアが半開きのままだわ? めぐみさん、春香です」
 直前に出て行った洋祐が閉め忘れたのだろう、大神隆造の秘書・春香がそのドアを開いて恵一の病室を訪れた。
「あっ、春・・・・・・」
 ベッドに寝ていた恵一は、一瞬春香に視線を送り挨拶をしかけたが、すぐに言葉に詰まり会釈だけで済ませた。
「どお、身体の具合は?」
「・・・・・・・・・」
「今、洋祐先生とお会いしたので伺ったら、手術の経過は順調らしいわね・・・・良かったわ」
「・・・・・・・・」
「でも、とても心配されていたわ。めぐみさんが何も喋ってくれなくなってしまったって・・・・・」
 春香が愛想よくいろいろと話しかけても、やはり恵一の口は閉ざされたままだ。
『これは思ったより重症ね。こうなったら、わたしも心を開いて話すしかないわ』
 春香はベッド脇に置いてあるイスを手で引き寄せ、そこに女性らしい大きなお尻を乗せて座った。
「めぐみさん、わたしにはめぐみさんの気持ちが痛い程分かるの。だから、今のめぐみさんを見ていると、とても辛くて・・・・・・」
「分・・・・分かるはずないわ、今のこのわたしの気持ちなんか」
「いいえ、分かるの・・・・わたしにはね。わたしも・・・・・元は男だったから」
「えっ、男?・・・・春香さんが」
 ずっと女だと思っていた春香が元は男だと聞いて恵一は驚かずにはいられなかった。
「・・・・・そうよ。詳しい事はまたいずれ話すとして、わたしも性転換手術を受けさせられて『女』になったの。しかも、めぐみさんと同じように強制的にね」
「う・・・うそ、信じられない。わたしにはどこから見ても女の人にしか見えないわ」
「でも、わたしがこのように表面的だけでも女らしく見えるようになったのはつい最近の事。それまでは、自分の心はあくまでも男なのだともがいていたわ」
「・・・・・・・・」
 春香から出た意外な真実に、恵一は言葉がありませんでした。
「わたしも手術直前までは『女の身体』に変えられてしまう事を覚悟していたわ。いえ、覚悟しているつもりだった。でも後で分かったのは、そう強い気持ちで覚悟出来ていたのは、たとえ僅かでも自分の身体に『男の部分』が残されていたから・・・・だから強い気持ちが保ててたの。手術で自分の身体から最後の『男の部分』が切除された途端、気持ちが真っ白になって・・・・・。しかも、その大きな喪失感から今度は心の中で『女性化』への反発が始まったの。きっと、今のめぐみさんもその時のわたしと同じなのではないかと思って・・・・・」
「知・・・・知りませんでした。春香さんが・・・・・・・」
 春香が自分と同じ道を辿って来たと知り、恵一は春香に親近感を抱き始めていました。
「話は変わるけれど、めぐみさん、洋祐先生に告白したそうね」
「えっ、春香さんどうしてその事を知っているんですか?」
 以前、恵一が洋祐に愛の告白をした事を、洋祐は春香に話していたのだ。
「洋祐先生から伺ったの。先生、とても喜んでいらっしゃったわ」
「うそ・・・・そんなのうそよ。わたしは男よ。同性にそのような事告白されて嬉しいはずがない」
「うーん、どうかしら。わたしに洋祐先生のお気持ちが分かる訳ではないけれど、決して悪くは思っていらっしゃらないと思うわ」
「もういいの。どうせ、洋祐さんは間もなく外国へ行ってしまうわ。だから、わたしにはもうどうでもいい事なの」
「洋祐先生・・・・その事を一番心配されていたわ」
「わたし、洋祐さんがいなくなったらもう『女言葉』なんて使わない。こんな身体になってしまったけれど、わたしは男・・・・男なのよ」
 洋祐が分析していた通り、やはり恵一の心の中には『女性化』に対する反発心が生まれていました。
「大丈夫よ、今、その事でも洋祐先生とお話して来たの」
「洋・・・・洋祐さんと?」
「そうよ、だからやけにならないで確かな気持ちを保ち続けて・・・・お願い」
「でも、春香さんは院長の・・・・・・」
「そう、秘書よ。でも、私を信じて・・・・・・」

 大神隆造の秘書なら恵一にとっては敵のはず。いったい、春香と洋祐の間にどのような接触があったのか?

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09/05|人工美女の館 (第二部)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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 ひとみ絵里

Author: ひとみ絵里
性 別 :  人工微女

初めてスカートを穿いた日が私の誕生日です。ちなみに、小説の中で時々登場するめぐみ(恵一)のイメージ画像のモデルは一部を除いて私自身です。

    ♥ お話について ♥
このお話はフィクションです。お話の中に登場する人物名・会社名などはすべて架空のものです。また、このお話の著作権や私自身の画像に関しては、すべてわたし・絵里に帰属致しますので、無断で転載やご使用なさらないでくださいね。

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