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妻となる瞬間
隆一郎によって新婦・恵一の指に結婚指輪が嵌められた

 第36話 妻となる瞬間 

 結婚式において、式を挙げる二人が夫婦の関係になるのはどの瞬間からなのだろうか。指輪の交換が終わった瞬間? あるいは最後に結婚証明書にサインをした瞬間? 考え方はいろいろあると思うが、私は二人が宣誓文を読み終えた瞬間・・・・愛の誓いを告げあった瞬間からではないかと思っている。それは、その瞬間に精神的な主従意識がお互いの意識の中に強く植え付けられると思うからだ。

「デハコレカラ、シンロウ&シンプソレゾレニ、メノマエニヨウイシテアリマス『結婚誓約書』ヲヨミアゲ、アイノチカイヲタテテイタダキマース。コノ『結婚誓約書』ヲヨミオエタシュンカン、アナタガタオフタリハ、セイシキナフウフニナリマース。ヨロシイデスネ?」
「・・・・・はい!」
「・・・・・・は・・・はぃ」
 どこから連れて来たのか、見るからに怪しげな神父役の外人が二人にそう告げ、新郎新婦の二人も了解の返事をした。
「恵一、準備はいいか?」
「は・・・・・・はぃ」
 いまだに半ば呆然としている恵一に、隆一郎が確認の声を掛けた。
「本当に大丈夫なのか? ここにいてもおまえの心臓の鼓動が聞こえて来るぞ」
 隆一郎が感じた通り、恵一の緊張は半端ではなかった。それは、この宣誓をする事で隆一郎の『妻』になる事を承諾する事になるからだ。
『と・・・・とうとう、この瞬間が来てしまった。でも、これはもうどうしようもない事・・・・・・』
 そんな恵一の気持ちも、あきらめの気持ちと共に少しずつ落ち着きを取り戻して行った。
「準備は宜しいですか? 宜しければお願い致します」
 進行役の春香からの催促の言葉だ。
「恵一、始めるぞ」
「・・・・はっ・・・はぃ」
 いよいよ、二人の愛の誓いが始まろうとしている。場内が一瞬冷たい空気に包まれた。

「私 大神隆一郎は、先頃、性転換手術により『女』として生まれ変わった旧名・赤月恵一ことめぐみを『妻』として迎え、一人前の『女』、そして『妻』として育て上げる事をここに誓います」
 隆一郎の誓いの言葉が終わった。続いては、恵一の番だ・・・・恵一が、目の前の『誓約書』の自分のフレーズに目を運んだ。
「私 赤月めぐみは、この瞬間より大神隆一郎を・・・・夫とし、その『妻』大・・・・・・・・」
 その部分で、恵一の言葉が突然止まった。
「・・・・・? ど・・・どうしたんだ、恵一?」
 隆一郎が恵一の耳元に囁いた。
「す・・・すみません。ちょっと緊張して・・・・・」
「そうか・・・・まぁいい。では、そのまま続けなさい」
「は・・・はぃ」
 隆一郎に促され、恵一は再び誓いの言葉を続けた。
「その『妻』・・・・大神めぐみとして、その生涯を捧げる事を・・・・ここに・・・誓います」
 最後の言葉を言い終わった瞬間、恵一は自分の魂の一部が隣に立つ隆一郎の中に吸い込まれて行ったように感じ、強い脱力感を感じていた。

「では、指輪の交換です」
 『誓約書』の横にあらかじめ用意されていた指輪が、神父からまず恵一の手の平に乗せられた。
「コノケッコンユビワヲ、シンロウノリュウイチロウサンノユビニハメテアゲテクダサイ」
「・・・・はぃ」
 恵一が隆一郎の方に向き直ると、隆一郎も恵一の方に向き直りそっと左手を差し出した。
「ありがとう・・・・恵一」
 気分がいいのだろう。いつもの隆一郎らしくもなく、恵一に優しい声を掛けた。恵一は、隆一郎の指に指輪を嵌め終えると、隆一郎と視線を合わせた。
「隆一郎さん、もう、恵一なんて呼ばないで・・・・今の私にはそう呼ばれるのが一番辛いの」
「そうか・・・・分かった。これからは、『めぐみ』と呼んであげよう。その代わり、おまえも私の事を『あなた』と呼ぶんだぞ」
「はぃ・・・・分かりました」
「なんだか、急に女らしくなったな。では、今度は私が指輪を嵌めてあげる番だ・・・・さぁ、指を出して」
「・・・・・は・・・はい」
『わたしは、もう隆一郎さんの「妻」なの。そう・・・・・「妻」なのよ!』

 夫となった隆一郎に結婚指輪を嵌められながら、恵一は心の中でそう叫んでいた。

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09/26|人工美女の館 (第二部)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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 ひとみ絵里

Author: ひとみ絵里
性 別 :  人工微女

初めてスカートを穿いた日が私の誕生日です。ちなみに、小説の中で時々登場するめぐみ(恵一)のイメージ画像のモデルは一部を除いて私自身です。

    ♥ お話について ♥
このお話はフィクションです。お話の中に登場する人物名・会社名などはすべて架空のものです。また、このお話の著作権や私自身の画像に関しては、すべてわたし・絵里に帰属致しますので、無断で転載やご使用なさらないでくださいね。

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