真っ暗な大広間・・・その正面ステージの袖からスポットライトを浴びて登場した黒いガウン姿の大神隆造と、そして、大きな黒人男性の両腕に抱き上げられた赤いネグりジェ姿の俊夫。いよいよこれから、大神隆造とその『妻』となった俊夫の『お床入りの儀』が始まろうとしていた。

 本来ならば大いに盛り上がるはずのこの趣向だったが、招待客が皆その一種異様な雰囲気に圧倒され、逆に会場は緊迫感でしんと静まり返っていた。そして、二人・・・いや三人は、ステージ上に並べられた二つの敷布団の前に立つと、招待客に向かって軽く一礼をした。
『あぁ、何ていう事だ。杉浦さんが・・・あの男らしかった杉浦さんが大神隆造の『妻』だなんて。しかもこれから・・・・うううっ!』
 実は、恵一にとって杉浦俊夫は兄的存在で、男として憧れを抱いていた存在だったのだ。その男らしい態度と行動力は、男の恵一から見てもとても惹かれるものがあった。その男らしい杉浦俊夫が今、女の姿をさせられ大神隆造の『妻』となっている。しかも、これから目の前では、その大神隆造と『夫婦の契り』までをも結ばされようとしているのだ。
 恵一はもう一度、黒人男性に抱き上げられている俊夫の顔を見た。その顔はどこか遠く一点を見つめ、今にも泣き出しそうな弱々しい表情をしていた。
『どうしたと言うんだ・・・。こんな目に合わされているというのに、何でああも大人しくしているんだ。杉浦さんはそんな弱い人ではなかったはずだ?』
 恵一はどうしても納得が行かなかった。
「もう降ろしてもいいぞ」
 大神隆造の指示で、黒人男性に抱き上げられていた俊夫が静かにステージの上へ降ろされた。しかし、両脚でステージに立った俊夫は、まるで衰弱した病人のように足元がふらつき、慌てて隆造が支えるという場面もあった。
「ではこれから、私と『妻』となった俊恵による『お床入りの儀』を皆様にご覧頂きますが、その前にちょっと面白い趣向を用意しております」
 隆造はそう言うと、横に立つ俊夫のネグリジェのボタンを外し始めた。よく見ると、俊夫はネグリジェの袖には手を通しておらず、ただ上から羽織っているだけだった。
「まずは皆様に、俊恵の身体をご披露致しましょう」
 そう言い終わるか終わらぬうちに、隆造は俊夫のネグリジェを一気に剥いだ。
「あっ、嫌っ!」
 今まで沈黙を貫いていた俊夫が小さな叫び声を発した。その声は、以前の俊夫の声とほとんど変わってはいなかったが、イントネーションだけは妙に女っぽくなっていた。
「おぉぉーっ!」
 その瞬間、招待客の間から大きなどよめきの声が上がった。剥ぎ取られたネグリジェの下から緊縛された女の肉体が現われたからだ。しかも、胸にはブラジャーは着けておらず、その部分を締め上げている縄で、豊胸手術により膨らまされた二つの乳房がより一層大きく強調されていたのだ。
『あっ・・・あぁぁ・・・・』
 眼前に現れた俊夫の大きな乳房に、恵一は愕然とした。無理もない、恵一の知っている俊夫の肉体は、胸板の厚い男の肉体だったからだ。しかし、それ以上にショックを受けたのは、俊夫の穿かされているネグリジェと同じ赤色のパンティー・・・そのレースのパンティーに覆われた下腹部に目を移した瞬間だった。
『あっ・・・あれは、そ・・・そんなぁ!』
 そのパンティーの前部には、男ならばあるべき隆起が見当たらなかったのだ。
『そんなはずはない・・・これは単なる錯覚に違いない』
 恵一は必死に自分の気持ちを否定していた。
「うぅ〜っ・・・ぅぅぅ〜〜〜」
 静まり返った大広間に、突然、俊夫のすすり泣きが響き始めた。
『あの俊夫さんが・・・泣いている』
 まるで女の子のようにすすり泣く俊夫・・・恵一にはその光景が信じられなかった。
「皆様はすでにご承知の事と思いますが、『妻』になったこの俊恵は元は男性です。その男のプライドとでも言いましょうか、どうやら俊恵はこの屈辱に耐え切れなくなったようです」
 隆造は、自分の『妻』となった俊夫が屈辱に打ちひしがれているのが、とても嬉しくてしょうがないようであった。
「では、その男のプライドとやらにとどめを刺してあげる事に致します」
 そう言って、隆造は俊夫の穿いているレースのパンティーに手を掛けようとした。しかし・・・・・
「嫌・・・嫌っ! お願い、それだけは許してっ!」

 それまでじっと大人しくしていた俊夫が、よろけながらも隆造の手を払い除けながら後ずさりを始めた。

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04/09|人工美女の館 (第一部)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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 ひとみ絵里

Author: ひとみ絵里
性 別 :  人工微女

初めてスカートを穿いた日が私の誕生日です。ちなみに、小説の中で時々登場するめぐみ(恵一)のイメージ画像のモデルは一部を除いて私自身です。

    ♥ お話について ♥
このお話はフィクションです。お話の中に登場する人物名・会社名などはすべて架空のものです。また、このお話の著作権や私自身の画像に関しては、すべてわたし・絵里に帰属致しますので、無断で転載やご使用なさらないでくださいね。

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