『杉浦さんの乳首に切除された睾丸が埋め込まれている・・・・』
 恵一は、隆一郎から俊夫の肉体の秘密を聞かされ愕然とした。そう言われれば確かに、俊夫の乳首は普通の女性のそれと比べて明らかに大きな乳首をしている。それは、その乳首の中に切除された睾丸が小さく加工され、埋め込まれているからだったのだ。
「何て残酷な事を・・・・・」
 恵一は、思わず怒りを口にした。
「残酷な事・・・か。まぁ、それが私達にとっては楽しいのだが・・・・」
『こ、こいつらは悪魔だ。このような事、血の通った人間なら出来るはずがない』
 恵一はこの時、大神家の人間の本当の恐ろしさを感じていた。下手に逆らえば、何をするか分からない・・・そう思っていた。
「それから、俊夫が何故ああいとも簡単に親父の言いなりになっているのか・・・・おまえ、それは気にならんか? いくら何でもあそこまで屈辱的名扱いをされれば、男なら黙ってはいられないはずだ・・・」
『ま・・まだ何か秘密が隠されているというのか?』
「では、ついでにそれも教えてやろう。俊恵のもう一つの肉体の秘密を・・・・」
『肉体の・・・秘密? いったいなんの事だ』
 恵一は、固唾を呑んで隆一郎の言葉に耳を傾けた。
「俊夫はな、性転換手術を施されている途中で一度死にかけたのだ」
「死にかけた!?」
「・・・・そうだ。男性器の切除、女性器の形成、それに加え睾丸移植を交えた豊胸手術。その何時間にも及ぶ手術に俊夫の肉体が耐え切れず、ついには心臓が停止した。そして、その結果として一時的に脳死にまで至ってしまったのだ」
「脳死?」
「そう・・・脳死だ。普通ならば、ここまで行ってしまうともう何も手立てはない。当然、その時の執刀医もどうする事も出来ずにいた」
「しかし、助かった・・・?」
「ぎりぎりのところで外国から戻ったばかりの洋祐が現れてな。見事に俊夫を生き返らせてくれたよ」
『洋祐さんが・・・・洋祐さんが杉浦さんを助けてくれてたんだ』
 そう思った瞬間、恵一は自分の身体が火照り始めたのを感じていた。
「だが、まだその続きがあってな。幸い命は取り留める事が出来たが、結果としてその後遺症が残ってしまった」
「後遺症?」
「そうだ、後遺症だ。筋無力症という形でな」
「筋・・・無力症・・・・・」
「厳密に言えば筋無力症ではなく、それに類似した症状と言った方がいいかもしれん。おまえも筋無力症という病気くらいは知っているだろう。俊夫の場合には、全身の筋力が小学生の低学年程にまで落ちてしまった。進行性は無いから死に至る心配は無いが、あの筋力で大人になった肉体を支えるのは大変だ。歩くだけでもふらついてしまうだろう」
『そうか、だから杉浦さんは立っているだけでふらついていたし、大神隆造にもいいようにあしらわれていたんだ』
 恵一は、ここで始めてこれまでの情況が理解出来た。
「だが、結果的に言えば筋無力症は俊夫から筋力を奪っただけではなかった」
「えっ?」
「人間というものは実に弱いものだな。それまでいくら責められても強気でいた俊夫が、筋力が落ちてからというもの、日に日に弱気になって行った。そして、ついには親父の言いなりさ。まぁ、たまに発作的に暴れだす事もあるが、あの身体では子供が駄々をこねている程度に過ぎない」
『そうだったのかぁ・・・・』
「更にもう一つ。俊夫は見ての通り女の身体に改造されはしたが、切除された睾丸はその機能を残したまま乳首の中に移植されている。その為、男性ホルモンも普通の男性と大差なく供給されている。しかも、女性ホルモンなどは一切投与していないから、俊夫の意識は今も完全に男のままだ」
「だから・・・どうだと言うんです?」
 恵一には、隆一郎が今言った事の意味が分からなかった。
「分からないか? つまり俊夫の場合は、外見だけは女の身体になったが、心は依然として男のままという事。女らしく振舞っているのは、単に私たちに責められ強制的に演じさせられているだけという事だ。この情況・・・プライドある男ならばかなり屈辱的なのではないかと思ってな」
 男を強く自覚したまま、杉浦さんは女を演じさせられている。いったいどんな辛い思いで演じているのか・・・と、恵一は俊夫の気持ちを思うと悼まれなかった。
「だが恵一、おまえの場合は俊夫とは違うぞ。おまえには俊夫とは逆に心まで女になってもらうつもりだ。おまえの男の理性がいくらそれを拒否しようとしても、女性ホルモンの作用がそれを許さない。時間と共に自然とそうなって行くはずだ」

『自分が女の心に支配されてしまうなんて・・・そんな! 僕は絶対にそうはならない。たとえ形の上で女を演じさせられたとしても』・・・そう心で強く誓う恵一だった。

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04/10|人工美女の館 (第一部)コメント(0)トラックバック(0)TOP↑
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 ひとみ絵里

Author: ひとみ絵里
性 別 :  人工微女

初めてスカートを穿いた日が私の誕生日です。ちなみに、小説の中で時々登場するめぐみ(恵一)のイメージ画像のモデルは一部を除いて私自身です。

    ♥ お話について ♥
このお話はフィクションです。お話の中に登場する人物名・会社名などはすべて架空のものです。また、このお話の著作権や私自身の画像に関しては、すべてわたし・絵里に帰属致しますので、無断で転載やご使用なさらないでくださいね。

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